VOICE(ヴォイス) 2015年 10 月号
冷戦時代の再来なのか。
中露韓の首脳は、9月3日の抗日戦勝70周年記念の軍事パレードで仲良く手を振って見せた。
日米をはじめ先進各国首脳は参加を見送ったにもかかわらず、韓国の朴槿恵大統領は中国との関係をより緊密化させた。
拡張主義を続ける中露が軍事的に接近すれば、国連は機能せず世界にとっては脅威だ。
また、中国発の世界同時株安は、リーマン・ショックの再来を思わせた。いよいよ中国のバブル崩壊が現実味を帯びて論じられるようになった。
日本経済も何らかの影響を免れない。
そこで、10月号は「どん底の中国経済」との総力特集を組んだ。
津上俊哉氏は「中国の不景気は長引く。
小手先の金融緩和や財政出動で底打ちするようなものではないから、期待値を上げないこと」と述べ、一方で「中国経済はそう簡単に『崩壊』しないが、(中略)縁起でもないが、そのときは日本丸自体も津波に襲われることに備える」べきだと説く。
日高義樹氏は「経済が崩壊すれば、やがて中国の共産党一党支配という政治体制そのものも壊れて世界を大混乱に陥れる懸念は強い」と、警鐘を鳴らす。
中国のマクロ経済の停滞とアジアでの侵略的な行動によって、アメリカは対中政策を硬化させ、日米同盟は強化されたと指摘するのは古森義久氏だ。
また、田村秀男氏は「『中国の崩壊』とは党支配体制や金融市場の崩壊のことではない。
崩壊するのはまず、13億人の住む国土である。
各地が汚染物にまみれ、水道水は安心して飲めなくなり、マスクなしで安心して空気を吸える日は少ない。工場倉庫は爆発し、多くの住民や消防士を犠牲にする。それでも党支配体制が崩壊する兆しはほとんどない」と、リアルな読み筋を紹介する。